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最後の日

前日に鼻腔栄養に為に鼻からチューブを入れた。
先生がやってみせてくれて、注意事項も
看護師さんが箇条書きにしてくれた。
チューブは細く、詰まりやすいので、
キドナをあげるにしても、小型のフードプロセッサー
で、何度も攪拌してあげるように・・・
鼻から栄養を入れると、吐く子がいるので、
ゆっくりあげる事・・・
そして、その日は吐くと家では対処できないので
入院して様子を見ることにした。
次の日は木曜日、病院は定休日。
仕方なくその日も自動的に入院となる。
が、
みるくを置いて帰ってから
気になってしょうがない。
一晩寝て、朝起きてもなんか胸がドキドキして・・・

この頃、仕事は事務所内での作業ではなく、
人前で指導するインストラクターの仕事ばっかり。
ちょっと前まで事務所内の仕事オンリーだったのに
なんで今この時期にしかも遠いとこばっか、
インストの仕事ばっかり・・・と、
ムカついていた。
しかも牛太郎と仕事がかぶってるもんだから
(専門で他の人にまかせられない)、
普段ならどちらか一人が行けば済むのに
2人でフル稼働しなければならない。
2人で心の中で泣きながら仕事していた。

その日も、私は往復だけでも時間のかかる遠方に
インストに行く途中だった。
電車の中で、いても立ってもいられず、
牛太郎と雨乞い師さんに
「今日、連れて帰りたい」とメールを送っていた。
定休日の病院には、無理を言って、時間の指定は
あるものの、面会はさせてもらえるように
してある。
だけど、もう、その時、私はみるくを家に
連れて帰りたいと強く思っていた。
何故だかわからないが、駄目と言われても
連れて帰るつもりだった。

5時の面会に間に合うように、半ば無理矢理に
午後休を取り、気を使って3時30分ギリギリまで
仕事をし、面会しにすっ飛んで行った。
先生の奥様(看護師さん)が、入院中のみるくの面倒を
看てくれていたが、連れて帰りたい旨を伝えると
外出中の院長先生にわざわざ連絡を取ってくれた。
あと30分で病院に着くから待っていてとの事。
急いで外出先から帰ってきて下さった。
その間に、奥様に鼻腔栄養のやり方をもう一度
聞いて、みるくとしばらく待った。
この時、もう眼は開いたままで手も足も動かさない。
呼吸数も昨日より少ない事は一目でわかった。
院長が帰ってこられ、注意事項を聞いてから
自宅へ戻った。
ベッドのまま、輸液ポンプも繋いだまま、
車の後部座席に乗せ、その横に私が座る。
雨乞い師さんの運転で自宅へ帰った。
うちはマンションの7階。
慎重にベッドごとみるくと輸液ポンプを運ぶ。
自宅に帰ると、いつもの位置にベッドを置き、

「みーたん、帰ったよー。おうちよー。
良かったねえ、もう、外へ行かないからねー」

と、何度も何度も言った。
冷えた手足の肉球を自分の手の熱で温め、
湯たんぽと軽い毛布・・・
もう血圧が下がり、血流が少ない為、
体の末端が冷たい。
動かない手足と体をゆっくりさすりながら
話しかける。

病院から出る時、体の向きを変えていないだろう
と思ったから、じょくそうの防止の為の
体位交換をする。
この時、体のどこにも力が入っていないので、
一回抱き上げてまた横向きに寝かすのに
苦労する。抱き上げた時、みるくが
「ぐう・・・」
と言った。しんどかったかしら?ごめんね・・・
と言いながら湯たんぽ等の再配置。

牛太郎から遠方に出張で遅くなるとメールが
入る。

みるくに、
「お兄ちゃんはお仕事で遅くなるんだって。」
と、手足を温めながら話して聞かせた。
すると、少ない呼吸数の合間に
ため息のような大きな呼吸をする。
今思えば、これが返事だったのだろう。
しばらくは呼吸が整う。

その間に、今日最後のご飯タイムにする為、
支度をする。
10mlの流動食キドナと、お薬を溶かした白湯を
5mlほど、鼻のチューブからゆっくり入れる。
苦しそうでもないし、吐く気配もない、初めての
自宅鼻腔栄養は成功。ほっとする。

しばらくして、20時頃、少し顔のひげに動きを
確認した。
何だろう?と思っていると、おしっこだった。
寝たままだけど、すごく沢山してくれて、
嬉しさのあまり涙が止まらない。
ちゃんとおしっこをして生きようとしてくれている
んだと思うと、みるくにありがとうねーと言わずには
おれない。先生も、おしっこが出ている間は
しんどくないはずですと言っていたから・・・
急いでシーツを取替え、少し濡れた体を
拭いて、暖めてあげる。

21:30頃、やっと牛太郎が帰ってきた。
みるくに
「おにーちゃん、帰ったよー」と
撫でながら言っている。

ご飯も食べずに帰ってきたらしく、カップラーメンを
作ってむせながら食べている。
みるくのどんな小さい事も見逃したり聞き逃したり
したくないのに、牛太郎のラーメン咳がずっと
続くので、うるせーな!静かにしろよ!ボケ!と
心の中で毒づく。

この時、まさかこの後すぐに亡くなるとは
これっぽっちも思っていなかったので、
明日、病院に行く時に使う車にガソリンを
入れなければならない事を雨乞い師さんが
思い出し、入れに行ってくれる事になった。

ところが、一回、みるくの呼吸が止まりそうに
なった。呼吸と呼吸の間が長くなったのだ。
この時は、おかしい!と思ってすぐに
牛太郎と私でみるくの手を握り、
「みーたん!みーたん!ここにいるわよ!
息をして!みーたん!ほら!息をしないと!」
と、背中を撫でながら叫んだ。
その間に、雨乞い師さんに電話を掛けようと
したけど、呼び出し音を2回鳴らした所で
みるくの呼吸が止まりそうになったので、
もう電話は放り出し、みるくを呼び戻すのに
必死になった。
もう、雨乞い師さんが間に合わなくても仕方ない、
悪いけど、そっちに労力は使えない!と
切り捨てた。

ところが、私は切り捨てたのに、
みるくは雨乞い師さんまで、待ったのだ。
雨乞い師さんは、私達の身内同然だが、
少し前まで正当な理由はあったにせよ、
不義理な時期があったのだ。
近くに住んでいながら、みるくが大変な時に
人手となってくれなかった。
他人だからと言ってしまえばそれはそうだが、
彼はみるくに身内の義理があったはずだったのだ。
最後の少しの期間に、みるくがお世話に
なった事はありがたいと思うが、
もう、みるくの最後に立ち会えない運命なのなら、
それはそれで仕方ないと、私はあっさり
切り捨てたのに、
みるくは待ってくれたのだ。
雨乞い師さんが帰ってくるのを。
みるくは雨乞い師さん、Ryoucyanさんを
仲間だと思っていたのだろう。
一緒に過ごした日々が、長かったから・・・

雨乞い師さんが帰って来た時、
みるくはまたゆっくり呼吸するようになり、
私はまた少し安心し、お茶碗を洗おうと
台所用手袋に手を入れかけた。

すると
みるくに張り付いていた牛太郎と雨乞い師さんが
「みーたん!息!息しなきゃ!」
と叫んだ。
私はみるくの頭の位置に飛んで行き、
左の手を握った。
背中をさすった。
涙が止まらない。
みるくは逝こうとしている。
呼吸と呼吸の間隔が、次第に長くなっていく。
呼吸の一つ一つが、大きなため息のように
なっていく。
その間、舌を2回ほど短く出した。
手足が小さく伸び、小さく痙攣した。
私が左手を持ち、牛太郎が右手を持ち、
雨乞い師さんが足を持ち、
みるくを呼び戻そうと必死で
「みーたん!息をして!」
「みーたん!おねーちゃんはここよ!
ここにいるわよ!」
「みーたん!みいーい!みーたん!」
「ありがとうね!ありがとう!みーたん!」
と、口々に叫ぶ。
もう、体は動かないはずなのに、
首を内側にぐぐっと一度、動かした。

3人が握っていた肉球の辺り、
最後に一度、力が入り、まるで、
「ありがとう・・・」と言ったかのように、
私達の手を力強く握ってくれた感じだった。

最後の呼吸が終わり、
次の呼吸を待っても、
もう動かない。
すうっと、静かに動かなくなった。
私が、心臓の辺りに耳をあて、
心音を探すがもう・・・
聴診器で聞いてみても・・・

牛太郎が、「点滴や鼻の、全部はずしてやらなきゃ!」
と言った。
3人で急いで静脈点滴の針や、経鼻チューブを
はずす。
「よく頑張ってくれたね。ありがとうね」と言いながら・・・
私は蒸しタオルでみるくの顔を綺麗に拭いた。
嫌いだったブラシもかけた。
ブラシをかけても「にゃ!(イヤ!)」って、
もう言わない・・・
泣きながらみるくを清めた。

しばらくして雨乞いさんが帰り、
私と牛太郎は思いっきり泣いた。
牛太郎は「もう、みーたんがいない、どうしよう・・・」
と、呆然と言った。

部屋の真ん中にみるくを寝かせ、
その両端に私達が寝そべり、3人で川の字だね
と言いながらお通夜をする。
ずっとみるくに話しかけ、手を握った。



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プロフィール

ねこがみ(猫神)^^

Author:ねこがみ(猫神)^^
免疫不全でステロイドを
続け、それで糖尿病・
腎臓病になりましたが、
頑張りつづけるみるくを
なんとか支えようと、
毎日必死の看病中の
猫神&旦那さんのぎゅう太郎、
頑張る猫、みるく
(ペルシャチンチラ・雄・17歳)
の日記です。

平成21年4月9日
虹の橋を渡りました・・・

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